歩歩起清風

 

急に、冷え込んできている今日この頃ですが

なかなか、気候に合わせるのが大変です。

 

木々の葉も、少しずつ色づいてきております。


  

昨日、大徳寺聚光院にて表千家不審菴の久田宗也氏の葬儀が 執り行なわれました。

それはそれは多くの方が、故人を偲び 集まってきておられました。

テレビや、雑誌等いろんな所で 茶道を広めておられるお姿を拝見しておりまして、

場所柄、何度かお見かけしたこともございます。

 

直接、お話したこともないのですが ひとつだけ、思い出があります。


  

門前に住んでおりますので、 お茶のお寺とも言われる大徳寺を前にして

いろんなお茶の関係の方が行き来されますし、お茶会もよく開かれております。

その日も、大徳寺にて何かお茶関係の行事が 催されているようでしたが

その混雑の中、お寺を用事で自転車で 抜けようとしておりました。

すると、後ろから車が来ているようでしたので 横によけてやり過ごそうとしたところ

うしろの座席に坐っておられた方が 追い越し時に、車の中で上体を起こして、すっとお辞儀をしてくださったのです。

その方が久田宗也氏でございました。


  

その時のことが、何時までも忘れられず 今でも、心に残っております。

 

この記事の題名の 『 歩歩起清風 (ほほせいふうをおこす) 』 とは、

禅の言葉で、『その人が歩くと、その人の周囲には清らかな風が吹く』 という意味だそうです。

まさにこの言葉が当てはまる、あの時の情景でした。

 

直接、お会いしたこともありませんし、

お茶のお稽古もしていただくことなどありえませんが

なにか、あの一瞬が私へのお稽古だったのかと 勝手に感じております。

たいへんありがたい事だったと、感謝しております。

 

簡単に歩歩起清風と申しますが、そうなるには、大変なご精進があってのことだと思います。

たいへんおこがましい言い方ですが、

人として、なにかを残すとすれば、この清風なのではないかと感じました。

失礼しました。

 

ご冥福をお祈りして

ありがとうございます

 

合掌